商圏分析 用語集

商圏分析 用語集

~基礎からトレンドまで~

Zスコア

Zスコアとは統計分析で用いられる手法で、データ群の該当する数値から平均値を引いて標準偏差で割った数値のこと。単位が異なる数値も比較することが可能となり、民間企業の商圏分析やエリアマーケティングで活用されることも多くあります。
商圏分析やエリアマーケティングについて、下記記事で解説していますので、詳しく知りたい方はぜひご覧ください。


商圏分析とは(コラムを読む)
エリアマーケティングとは(コラムを読む)

ここでは、販促エリア選定を事例にZスコアについて紹介します。
Zスコアは、データ群の該当する数値から平均値を引いて、標準偏差で割ることで求めます。 これにより、このデータ群は平均が0、標準偏差が1になり、単位が異なる数値も偏差値にて比較することが可能となります。 このような変換は標準化や基準化とも言われ、変換した数値は“Zスコア”と呼ばれます。

Zスコア活用法1.顧客像をヒントに効果が期待されるエリアを探索する

ここでは例として、広告主を自動車ディーラーと想定し、東京都大田区を対象に高級外車を販売すると仮定します。広告媒体は無宛名DMで、予算から逆算した5万部を配布する計画です。
まず、東京都大田区には国勢調査によると約35万世帯が存在します。つまり、計画している配布数の5万部では到底足りないため、見込みの高そうな顧客の絞り込みを行います。

【需要が高い層の絞り込み】

高級外車の需要がある人はどのような人物像か。今回は、仮に『①所得水準が高いこと』と『②ニューファミリー層に住む人』という条件で、エリアデータを活用し見込み顧客が多いエリアを可視化していきます。

ちなみに、エリアデータとは公的な調査結果をもとに小地域ごとに集約したデータを指します(例:総務省統計局の国勢調査等)。これらのエリアデータは、個々人の情報(個人情報)ではなく、行政界(例:町丁目)単位等で集計された面としての情報となるため、マーケティングにおいて活用しやすいデータと言えます。

Zスコア活用法2.分析方法と解析結果

販促エリアの探索方法を、2つご紹介します。

【2つの条件を個別に判断する】

図1は、年収階級別世帯数データの平均年収情報を使い、平均年収の高い地域から世帯数を累積し、5万世帯になる地域(青網掛け)を表します。
一方、図2は国勢調査の「6歳未満世帯員のいる一般世帯数」からニューファミリー層の多い地域を算出し、5万世帯になる地域を可視化します。
両図を比較すると、それぞれの条件で別々にエリアを絞り込んだため、異なった有望地域を示していることに気が付きます。つまり、所得水準の高さか住宅の広さのいずれか優先されなかった条件の地域が欠落してしまうことが問題となります。

平均年収が高い5万世帯

【図1】1世帯あたりの平均年収が高い5万世帯(青網掛け)


ニューファミリー層が多い5万世帯

【図2】ニューファミリー層が多い5万世帯(青網掛け)



【Zスコアで、2つの条件を総合的に判断する】

先の「2つの条件を個別に判断する」場合のように、優先させる条件によって結果が異なってしまうと不都合であれば、Zスコアを使った総合的な判断方法を使用することで問題を回避できます。
Zスコアとは0を基準にした偏差値です。Zスコアの値が0より高い場合は、それが平均以上であることを表します。Zスコアは複数の要素を総合的に判断する場合に利用されます。

表3は2つの条件をそれぞれZスコアに直したものです。さらに、販促エリアを総合的に判断するために、それぞれのZスコアを合計したものが表3、地図上に上位5万世帯を満たす地域を表したものが図3です。
今回は2つの条件(①所得水準が高い、②ニューファミリー層である)を同質として使用しましたが、条件ごとに重点を置きたい場合は、そのZスコアにあらかじめ重み付けすることもあります。

2つのZスコアの合計

【表3】 2つのZスコアの合計(抜粋)


Zスコア合計による有望販促エリア

【図3】年収とニューファミリーをZスコア化し、合計スコアが高い5万世帯を可視化



3.最後に

Zスコアを使った総合的なエリアマーケティングの結果、田園調布など富裕度が高く住居が広いエリアが上位にランキングされました。感覚的な思い込みではなく、データによって示すことで、説得力のある販促プランを策定することができます。

技研商事インターナショナルでは、ご紹介した一連の工程を実現する配布エリア最適化システムを販売しております。今回は商圏分析用GIS「MarketAnalyzer🄬(マーケットアナライザー)」を使って分析しました。






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