商圏分析 用語集

商圏分析 用語集

~基礎からトレンドまで~

買い物弱者とは

買い物弱者(買い物難民)とは、住んでる地域の過疎化が進み、近くの商店が廃業したり撤退したほか、足腰が弱くなって買い物をしたり生活に必要なサービスを受けるのに困難を感じる人たちのことをいいます。

 

 

「買い物弱者」とは

近頃「買い物弱者」という言葉を多く目にするようになりました。民間企業においても買い物弱者対策として様々な取り組みが始まっているようです。小売業におけるネットスーパーや送迎バスなどの対応は皆様ご存知の通りでしょうし、イトーヨーカドーさんが、多摩ニュータウン地区で移動車販売を開始したというニュースもありました。
では、買い物弱者とは何かというと、経済産業省の定義によれば「流通機能や交通網の弱体化とともに、食料品等の日常の買い物が困難な状況に置かれている人々のこと」だそうです

高齢化や人口減少などの影響で、身近な場所から買い物をするための店が撤退する地区が増えています。そのうえ、高齢のために自動車が運転できない等の理由で遠くの街まで出かけることが困難に感じる人が多くなっています。

買い物弱者のイメージ

【買い物弱者のイメージ】

少子高齢化や過疎化によって、お年寄りのみの世帯が増える一方で、経済情勢の変化から彼らの周りの小売店が閉店あるいは撤退するなど、「お店が近くに無い」地域が増えているということです。遠くのお店に行けばよいのですが、お年寄りが通える距離に店舗が無いということでしょう。技研商事インターナショナルでは、エリアマーケティング用のデータとGIS(地図情報システム)「マーケットアナライザー(MarketAnalyzer™)」を用いて、「買い物弱者が多いエリアはどこなのか?」を自主調査として分析しました。

GISによる買い物弱者エリアの可視化|高齢世帯と小売店の分布

使用したデータは国勢調査メッシュデータの「高齢単身世帯」と「高齢夫婦世帯」という項目と、リンク統計メッシュデータの「飲食料品小売店事業所数」です。これらを用いて、東京都内の各メッシュの中心点から半径500m圏内を集計し、主成分分析で合成しました。図1は、東京都における高齢単身世帯と高齢夫婦世帯の分布を表しています。人口集中地区ほど濃い色で表現されます。次にお店の分布を見てみましょう。図2は、飲食料品を扱う小売店の分布を表しています。東京都内では相対的に都市部の商業集積エリアに分布が集中しています。

高齢単身世帯と高齢夫婦世帯の分布

【図1 高齢単身世帯と高齢夫婦世帯の分布】

飲食料品小売店の分布

【図2 飲食料品小売店の分布】

そしてこれら2つの指標を更に合成したのが図3-1、3-2です。小売店1店舗当たりの高齢者数のボリュームを表しています。色塗りしているのは500mメッシュ単位ですが、集計単位は単純なメッシュ単位ではなく、各メッシュの中心点から半径500m圏内の値で計算しています。この空間解析処理によって、各メッシュ単独の比較ではなく、メッシュ毎に近隣の要素を加味した結果を得ることが可能となります。

経済産業省が買い物弱者の多い地域としている多摩ニュータウン周辺は、今回の調査でもその通りの結果となりました。ただ、見落としてはならないのはそれ以外にも買い物弱者が多いエリアがたくさんあるということです。多摩都市モノレール線の中央大学・明星大学駅付近の集合住宅もはっきり買い物弱者エリアだと分かりますし、高尾山口駅南側のエリアも同様です。共通しているのは、数十年前に建てられた公団住宅付近だということです。また、町田市の玉川学園付近など住宅密集地にもかかわらず飲食料品店が少ないエリアもあります。このようなエリアはデリバリーでの食料品購買の需要があると考えてもよいかもしれません。

1店舗当たりの高齢者

【図3-1 1店舗当たりの高齢者】

1店舗当たりの高齢者(拡大)

【図3-2 1店舗当たりの高齢者(拡大)】

GISによる買い物弱者エリアの可視化|将来の予測

団塊世代がいよいよ高齢期を迎え、買い物弱者がより一層社会問題化すると考えられています。買い物弱者の現状と今後について可視化します。
まず、各年度別の「75歳以上人口」とリンク統計メッシュデータの「飲食料品小売店事業所数」を、東京都内の各メッシュの中心点から半径500m圏内で集計します。年度別の75歳以上人口を飲食料品小売事業所数で割ることで、飲食料品小売事業所当たりの75歳以上人口を算出しました。それによって、飲食料品小売事業所数も店舗分布も現状通りの場合、どの地域で、いつ飲食料品小売事業所の供給バランスが崩れるかを測ることができます。

図4-1は2010年国勢調査より75歳以上人口を集計し、図4-2~4は推計将来人口を用いて75歳以上人口を集計しました。赤い個所は飲食料品小売事業所当たりの75歳以上人口が特に多い個所、緑の個所は逆に少ない個所を表します。

2010年買い物弱者指数

【図4-1 2010年買い物弱者指数】

2015年買い物弱者指数

【図4-2 2015年買い物弱者指数】

2020年買い物弱者指数

【図4-3 2020年買い物弱者指数】

2025年買い物弱者指数

【図4-4 2025年買い物弱者指数】

さいごに

今回の例は「買い物弱者」ということで、商圏分析用GIS(地図情報システム)「マーケットアナライザー(MarketAnalyzer™)」を用いて高齢者を表す指標、小売店の指標など複数の要素を統計解析によってスコア化し、さらに各町丁字からの距離という空間的要素によって解析・表現しました。ご興味をお持ちいただきましたらお気軽にお問い合わせください。






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