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商圏分析 用語集
相関分析とは、2つのデータの関係性の強さを表す指標(相関係数)を計算し、数値化する分析手法です。相関係数は1に近づくほど正の相関(正比例)の関係が強くなり、-1に近づくと負の相関(反比例)の関係が強くなります。また、0に近づくほど無関係になります。
商圏分析では店舗の売上と商圏データの相関を分析したり、顧客分布と統計データの相関を分析したりします。マーケットアナライザー(MarketAnalyzer🄬)シリーズでは商圏データと店舗データの相関係数を算出する機能が標準搭載されています。
相関分析の結果は相関係数という数字で表されます。相関係数とは2つの変数間の類似性の度合いを示す統計学的指標です。相関係数には単位はなく、-1と+1の間で表されます。
身近な例を挙げると、ビールの販売量と気温の相関係数は+0.78となり、強い正の相関があります。また、先進国の失業率と実質経済成長率の相関係数は-0.84で、強い負の相関があります。気温が高ければビールの販売量が多くなり、失業率が高ければ成長率は低くなるという訳です(図1)。
【図1 相関係数のイメージ】
■エリアマーケティングにおける相関分析
エリアマーケティングにおいては、店舗の売上と商圏特性との関係性を探り、店舗の売上に貢献している指標を見つけ出したり、小地域毎の顧客分布と小地域単位の統計データから、来店しやすいターゲットエリアを見つけ出したりします。
以下、実際の事例を2つご紹介していきます。
某自動車ディーラー様の事例です。新規に出店する候補地が2つあり、どちらに出店したほうがより良いかという課題がありました。自社に優位な商圏特性はどちらの物件かを分析する際に相関分析を用いました。
■事前準備
まずはGISに取り込む店舗データを用意します(表1)。
【表1 店舗データのイメージ】
このデータを商圏分析用GIS「MarketAnalyzer™」にインポートし、各店舗に商圏を作成します。ここでは一律の円形商圏を作成しました。そしてあらゆる統計データを集計し、店舗の属性に付与します。(図2、表2)
【図2 店舗分布と商圏の作成イメージ】
【表2 店舗データの属性に商圏データを付与したイメージ】
売上という列と商圏データの各列との相関係数を算出します。相関係数の高い項目から、以下の解釈を試みました。今回の自動車ディーラー様にとって優位な統計指標(ターゲット指標)は次の結果となりました。
【自動車ディーラーのターゲット指標】
■POINT
この自動車ディーラー様の分析に投入した売上は、実は特定の車種(スポーツ系車種)の売上です。嗜好性の高いスポーツカーを選ぶのはある程度自由になる収入があり、自分の趣味で車種を選択できる単身層であると解釈できます。逆に言えば、持ち家のファミリー層は、やはりファミリーカーを選択するということでしょうか。この結果は実際のお客様が持っていた仮説と一致したとのことでした。
先の事例では店舗の売上と商圏データとの相関を見ました。ある程度の店舗数がないと分析しにくい方法ですが、次の事例は単店の顧客データを用いたものです。
某フィットネスクラブの顧客データを用いた相関分析です。まずは顧客データリストをGISに取り込み、点でその分布を把握します(図3) 。
次に点の顧客データを町丁・字単位に集計し、町丁・字単位の統計データとの相関を分析します(図4) 。
【図3 顧客分布と投入した顧客データイメージ】
【図4 顧客分布を町丁・字単位に集計したイメージ】
結果から以下のような解釈となりました。
【フィットネスクラブのターゲット指標】
先の2つの事例のように、ターゲットとなる指標(相関の高いデータ項目)は業種業界・企業によって異なります。その他に以下のような事例もあります。
■学習塾:「年齢(小学生)、親の年収、親の最終学歴」
ターゲットとなる生徒が通える範囲(多く居住する)のエリアが良いのは勿論、通塾の意思決定は親がするもので、親の富裕度と学歴が高いほうが教育投資に熱心だという具合です。
■リフォーム会社:「持ち家、一戸建、面積、居住年数」
持ち家の広い一戸建てに長く居住しているとリフォーム需要が高いということです。
今回はエリアマーケティングにおける相関分析の事例をご紹介しました。比較的分析も容易で、専門家だけではなく現場にも浸透しやすい手法です。一度是非お試しください。