技研商事インターナショナル技研商事インターナショナル
商圏分析 用語集
アドレスマッチングとは、漢字住所を緯度・経度の座標に変換すること。商圏分析では、顧客や店舗の位置情報(住所や郵便番号)から地図上にプロットし分析します。マーケットアナライザー(MarketAnalyzer™)シリーズでは漢字住所から緯度経度を付与するジオコーディング機能が標準搭載されており、その精度はピンポイント(号レベル)となっています。ジオコーディングと同義。
GISと統計データを用いて顧客データを分析することは、ビッグデータ分析時代において、ますます重要になってくる視点です。
【意義①:分析のしやすさと個人情報の秘匿】
通常、顧客データは下の図1のようなレイアウトで管理されています。BtoC企業が保有する顧客数は数万ということはないでしょう。大手企業であれば数百万、場合によっては数千万という膨大な数となります。顧客数が多くなればなるほど、データのレコード数も大きくなり、それを分析するには専用のツールや仕組みが必要で、そうなると現場レベルで気軽に分析できるものではなくなります。
【図1:顧客データのレイアウトイメージ】
GISを用いて小地域単位で集計するとどうでしょうか?図2は色々な地域単位で顧客を集計したイメージです。つまり顧客データを統計化したものです。
【図2:顧客データを統計化したイメージ】
郵便番号単位であれば全国で約11万レコード、市区町村単位であれば約1,900レコード、都道府県単位であれば47レコードとなり、現場の表計算ソフトで簡単に分析できるようになります。町丁目単位でも全国で約25万前後です。また統計化されたデータは基本的には個人情報ではなくなるため、一層扱いやすくなります。
【意義②:市場シェアの把握】
先にも触れましたが、顧客データを統計化し、統計データと合わせて分析することがこれからますます重要となってきます。図3をご覧ください。A丁目とB丁目を比較した表です。顧客データだけを見ると、A丁目の100人に対してB丁目は50人しかいないため、B丁目の顧客を増やそうという発想になるかも知れません。しかし、市場データである人口総数という統計データと合わせて見ると、A丁目は見込み客が1000人ー100人で900人、B丁目は同じように計算して150人となります。見込み客が多いA丁目のほうが開拓余地がある地域ということが見えてきます。
【図3:顧客数と市場の比較】
消費者の購買行動や購買チャネルが多様化している時代、そもそも顧客はどんな人なのかという分析が必要です。各企業や商品にはターゲットイメージが設定されていると思いますが、実際の顧客はどのような人なのでしょうか。顧客データの中には詳細な属性が含まれるのもありますが、通販企業などは、購買された商品を配送しているため顧客の住所はわかりますが、その属性まで取得しきれていないのが実情です。ここからは顧客住所と統計データから顧客をプロファイリングする手法をご紹介します。
まず「富裕層」というキーワードを例として基本的な考え方を説明します。富裕層の定義はひとつではありませんが、現金や預金、株式などの金融資産を1億円以上保有している人というのが一般的なようです。スイスの金融大手であるクレディ・スイスの2014年の発表によれば、日本国内には約270万人いるとされています。日本の総人口は1億2,800万人ですから、約2.11%です。国民の100人に2人強が富裕層ということです。別の言い方をすれば、東京ドームの収容人数は46,000人なので、満席の場合、その中には約970人の富裕層がいることになります。
このような統計学的な考え方を用いて、地理的要素を追加しつつ顧客をプロファイリングします。例として富裕度を推察していきましょう。
【図4:顧客分布と顧客が存在する町丁目】
図4はとある顧客データを地図上にプロットしたものです。赤く網掛けしているところは、ある顧客が居住している町丁目というイメージです。
町丁目単位で年収階級別の世帯数がセットされている推計年収階級別世帯数データを用いて、それぞれの顧客の属性に顧客が居住する町丁目の年収階級別世帯数の構成比を属性として付与します(図5)。
【図5:顧客属性に年収階級別世帯構成比を付与】
図5の表の縦軸は一人ひとりの顧客で、横軸は年収階級ごとの世帯構成比を表します。表中の数値の単位は%です。この顧客ごとの構成比を全体で集計したグラフが下の図6です。
【図6:顧客の年収階級プロファイリング結果】
ここから、自社顧客は年収500万~700万の層と700万~1000万の層がボリュームゾーンだということがわかります。この他に、年齢構成、職業、住宅の居住形態などを推察することも可能です。