エリアマーケティングラボ

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~業界の最新動向~

【セミナーレポート】商圏分析GISがもたらすエリアマーケティングDX(前半)

2025年4月14日号(Vol.141)

はじめに

本コラムは2025年4月4日開催したオンラインセミナーのレポートです。 まずは前編ということで、「出店候補地の商圏をデータで読み解く」という前半のパートの一部をご紹介します。
エリアマーケティングを進めるうえでGIS(地図情報システム)を活用するメリットや、当社GIS「MarketAnalyzer® 5」でどんなことができるのか等、具体的にご紹介します。

「エリアマーケティングのDXを進めたい」、「データを駆使した出店候補地の選び方を学びたい」、「エリアや顧客を理解するために、統計データや自社データを活用していきたい」、という課題をお持ちの方、必見です。


MarketAnalyzer無償提供キャンぺーン

GIS(地理情報システム)とは


MarketAnalyzer概要

GIS(地理情報システム)は、地図上にさまざまな情報を重ね合わせ、空間的な分析を行うツールです。単なるビジュアル的意味の地図ではなく、川や道路など移動を妨げる要素も含む「空間的地図」をベースに、出店候補地の商圏範囲や顧客・競合店舗・小地域単位の統計データなどを重ねて活用します。これにより、新規出店や既存店の集客分析、販促・経営企画など多様な目的に対応できます。多くの企業が部門を超えて活用しています。


GISデモンストレーション

MarketAnalyzerデモ画面

商圏分析GIS「MarketAnalyzer®5」を用いたGISデモンストレーションでは、千葉県の成田駅を出店候補地として地図上に設定し、その地点を中心に半径2kmや車で10分圏などの商圏を作成しました。
「MarketAnalyzer®5」では、道路種別や通行量、制限速度などのデータをもとに車移動のシミュレーションも可能です。商圏内の統計データ(商業人口など)を可視化し、どこに人が多いかを確認できます。これらの情報はエクセル形式の帳票として出力でき、会議資料や社内検討、取引先への提示資料として活用されています。

Excelレポート自動出力機能



商圏調査レポートの読み解き方

このレポートは、成田駅を中心とした車10分圏内の商圏に関する詳細な調査結果をまとめたものです。まず、対象エリアには約6万6千人が居住しており、年齢構成では20代の若年層の割合が千葉県全体よりも高く、特に20代後半が顕著です。人口ピラミッドや構成比グラフを通じて、若年単身層や新社会人、学生などが多く住んでいることが視覚的に確認できます。家族構成別に見ると、単身世帯の比率が高く、特に20代の一人暮らしが多いことがわかります。住宅形態としては、アパートやマンションなどの共同住宅が多く、持ち家比率は低めです。

成田駅周辺の商圏調査レポート


また、居住者の世帯年収は平均で約473万円と、千葉県全体の505万円よりやや低めで、若年層が多いことも影響していると考えられます。消費傾向についても、食費や家賃など生活費の内訳が示されており、家計の構造を把握する上で有用な情報が揃っています。さらに、年齢と家族構成をクロス分析した帳票もあり、例えば40代のファミリー層や20代の単身層、夫婦のみの高齢世帯などが視覚的に把握できるようになっています。

成田駅周辺商圏調査レポート2


加えて、昼間の中間人口に関する情報も提供されており、働いている人や学生がどれだけいるかも確認できます。昼間人口の人口ピラミッドは夜間と異なり、より労働人口中心の構造となっています。最後に、夜間人口・中間人口・買物人口の3種類の人口指標をもとに、商圏の性質をベッドタウン性・ビジネス街性・繁華街性の3軸で評価。成田駅周辺は、住民が多く買い物需要もある一方で、ビジネス街や繁華街としての性質は比較的弱く、典型的なベッドタウン型の商圏であることが示されています。こうした多角的なデータにより、出店やマーケティング戦略立案の判断材料として活用可能です。

成田駅周辺商圏調査レポート3


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生成AIによる商圏構造の理解促進


商圏レポートAI

GISによる商圏調査レポートでは、人口統計データを表やグラフで視覚的に示しますが、それらを正しく読み解くには専門的な知識やノウハウが必要です。そこで、生成AIを活用し、データから商圏の特徴を文章で自動説明する新機能が追加されました。ユーザーが自身の立場(例:広告代理店)、用途(例:プロモーション戦略)、対象(例:飲食チェーン)などを設定すると、それに応じたテキストを生成。これにより、データの背景や傾向が誰でもわかりやすくなり、社内共有や意思決定に役立ちます。


商圏レポートAIイメージ



商圏を読み解く基礎的指標:3つの人口とは

商圏分析では多くのデータが存在しますが、まず注目すべきは「居住人口」「昼間人口(就業者など)」「商業人口(来訪者など)」という三つの基本的な人口データです。これらは典型的な立地パターンを把握するうえで重要で、商圏を読み解く起点となります。必要に応じて家族構成や持ち家率など、エリアマーケティングに特化した推計データも活用できます。すべてのデータを一度に使うのではなく、まず基本の三つを見てから、足りなければ追加データを参照するのが効果的です。


3つの人口



より深い地域理解に役立つ「c-japan®」とは


GISで活用する「c-japan®」は、日本全国を約35~36のライフスタイルパターンに分類したエリアセグメンテーションデータです。人口の多さではなく、年齢構成や家族構成、ライフスタイルなどの要素をもとに、町丁目単位で色分けされています。たとえば、都心の富裕層エリアやシニア向け住宅地などが一目で把握できます。複雑な統計データを細かく読み解かなくても、エリアの特徴を直感的に理解できるのが大きな特長で、多様な分析に使える便利なデータです。
先ほどのExcelの商圏調査レポートの中にもc-japan®のシートがあります。成田駅自動車10分商圏では「地方の高齢一人暮らし」「都市部の公営住宅」「近郊の賃貸住宅」などが多くを占めることがわかり、それぞれの特徴やライフスタイルを文章で説明することで、商圏の傾向を直感的に理解できます。数値やグラフだけでなく、解説付きのマニュアルと併用することで、より深く地域を把握できる仕組みです。


c-japan概要

c-japanハンドブック

〇 ウェビナーレポート後半はこちら:https://www.giken.co.jp/column/seminar2504-2/

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まとめ

GIS(地理情報システム)「MarketAnalyzer®5」は、地図上に人口・統計・競合情報などを重ねて空間分析を行うツールで、出店戦略や販促計画に活用されています。
商圏範囲を地図上で可視化し、統計データをもとに分析・資料出力が可能です。

近年は生成AIとの連携により、商圏データの特徴を自動で文章化でき、専門知識がなくても内容を理解しやすくなりました。
また、「居住人口」「昼間人口」「商業人口」の三大指標を軸に、ライフスタイル分類データ「c-japan®」を併用することで、地域の特性を直感的に把握できる点も特徴です。


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監修者プロフィール

市川 史祥
技研商事インターナショナル株式会社
執行役員 マーケティング部 部長 シニアコンサルタント
医療経営士/介護福祉経営士
流通経済大学客員講師/共栄大学客員講師
一般社団法人LBMA Japan 理事

1972年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。不動産業、出版社を経て2002年より技研商事インターナショナルに所属。 小売・飲食・メーカー・サービス業などのクライアントへGIS(地図情報システム)の運用支援・エリアマーケティング支援を行っている。わかりやすいセミナーが定評。年間講演実績90回以上。




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