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エリアマーケティングラボ
2024年2月13日号(Vol.115)
ローカルビジネスや地域固有のニーズに対応できる有効なツールとして、2024年改めて注目を集めているジオターゲティング広告。近年はプライバシー保護の観点から広告配信もCoockieレス対応が求められ、欧米では既にGoogleをはじめとする主要プラットフォーマーはCookie情報をもとにしたトラッキングやターゲティングを廃止する動きが出ており、Cookieに依存しない広告配信手段として位置情報活用への関心が高まっています。
このコラムでは、ジオターゲティング広告の概要やメリット、デメリット、業界別の活用事例を中心に、位置情報以外の様々なデータ連携といった最新トレンドをレポート。最後に、おすすめの配信サービスの選び方もご紹介いたします。
ジオターゲティング広告は、昨今では位置情報を用いたデジタルデバイス向けのターゲティング広告を指すことが多いですが、地域性のあるターゲティング広告という広義の意味においては、従来のポスティング広告や屋外広告も含まれます。
地域に沿った細かな広告が打てるため、商圏概念のあるサービスとの相性がよく、認知獲得、興味喚起、来店誘致と幅広い目的で有効な広告手法と言われています。
ターゲティング広告のひとつであるジオターゲティング広告は、小地域単位で広告配信エリアを指定できることが特長です。サービスによっては居住地や来店タイミングを指定して配信できるものもあります。
実際に広告チャネルとしては、多くの場合「屋外広告(OOH、DOOH)、折込・ポスティング、CTV広告、プログラマティック広告、SNS広告」のいずれかを指します。店舗のイベントやキャンペーン等の認知から来店誘導、サービスによっては来店計測まで含めた効果測定までできるものもあります。
Googleやその他SNS広告等のプラットフォームでも、配信エリアを指定する「エリアターゲティング」は可能ですが、この場合はエリアの指定のみ行うものとなります。一般的には、性年代や興味関心等の要素と一緒にエリアを指定するセグメントが主流となります。
一方、ジオターゲティング広告は、現在地や過去の訪問履歴等から細かなターゲティングを行うことができるため、エリアターゲティングという視点において、より高確度、高効率に広告配信ができるといわれています。
リアルな行動履歴に合わせてターゲティングを行えます。例えば、自社や競合の店舗や施設に行ったことがある人を対象に広告を配信できたり、ゴルフ場への来訪頻度が高い人に向けてゴルフ用品や関連する商材の広告を配信したりと、過去の足跡を広告配信のセグメントに活用でき、効果的なアプローチを実現できます。
一部のジオターゲティング広告において提供される、スマートフォン等から発せられる現在の位置情報をもとにターゲティングをする手法です。 マップアプリなどリアルタイムで位置情報を取得する一部のアプリや、十分単位の誤差はあるもののバックグラウンドで位置情報を取得する一部のアプリ情報を活用することで、イベント会場や店舗、施設周辺にいる人へ向けて比較的タイムリーに訴求できるため、セールやキャンペーン時の来店誘導やイベント集客等で多く活用されています 。
当社でも、”今”そこにいる人に向けてジオターゲティング広告を配信できるサービスを展開しています。特に「対象エリアにいる消費者にしか広告を配信しない」という特殊なジオターゲティング広告となっています。
ジオターゲティング広告の課金は、一般的なWebの運用広告と同様に「クリック課金(CPC)」または「インプレッション課金(CPM)」がメインとなります。
CPCの場合は、クリックされるまで費用が掛からないため無駄がなくコストパフォーマンスが高いといえますが、CPMに比べて広告露出のボリュームは下がる傾向にあります。そのため、認知よりも刈り取りを目的とする場合に多く選ばれるようです。
認知拡大を目的とする際は、CPMで広く知らせることを優先するなど、広告の目的により課金体系を選ぶことがおすすめです。
ジオターゲティング広告では、サービスにもよりますが、概ね下記のような流れで広告配信が設定されます。
スマートフォンの位置情報等を活用したジオターゲティング広告は、「店舗や施設から半径1㎞以内に流入してきた人」や「過去、店舗に〇回訪問した人」等、配信エリアを細かく指定できます。 自社商圏周辺エリアに滞在する人に絞ってメッセージを届けられるため、有店舗型ビジネスと相性が良いといわれています。 |
Web配信となるため、その他のWeb運用広告と同様に広告効果の計測が可能となります。
クリックしたユーザ数、クーポン等を表示して来店したユーザ数等、広告に対してアクションを起こした人のボリュームを具体的に把握できます。また、来店計測も可能なサービスもあり、売上への寄与度等が図れるものもあります。
ターゲットが指定エリア以外にいる場合は、広告を配信できずにインプレッションを取れない可能性もあります。また、配信エリアを絞りすぎると、配信ボリュームが思うように出なくなるケースもあります。初めは配信エリアを絞りすぎず、結果を見て徐々に絞っていくような検討が有効です。
効果的なジオターゲティング広告を展開するためには、位置情報の種類や正確さが重要です。データソースの信頼性、Beacon、GPS、Wi-Fi、IPアドレスといったデータの粒度や更新頻度等、位置情報の精度をチェックするようにしましょう。
顧客の行動や特性を分析し、広告のセグメントを細分化することで、より関連性の高い広告を表示することができます。地理的な要素だけでなく、年齢、性別、興味関心、購買履歴など他のデータも活用しつつ、より具体的なターゲティングを行うサービスもあります。
当社では、公的統計や購買行動、サイコグラフィックデータ等、様々なデータを、個人情報を特定しない秘匿処理をした状態で活用し、販促エリアや消費者セグメントを最適化できるジオターゲティング広告サービスを展開しています。ご興味のある方は、お問い合わせください。
ジオターゲティング広告では、配信するエリアや場所に関連したコンテンツを活用することで、ユーザーの関心を引きやすくなります。地域の特性を把握し、そのニーズに合った広告表現をつくることで、ユーザーの関心を高めましょう。
広告の表示タイミングも重要な要素です。特定の地域や場所で需要が高まる時間帯やイベントがある場合に、広告の表示タイミングも戦略的に設計しましょう。
キャンペーンの実施後は、データ解析を行い広告の効果を評価しましょう。サービスによっては、クリック率、コンバージョン率だけでなく、人流データを活用した店舗来訪者分析、来店計測等もできるものがあります。キャンペーン最適化を行いながら、効果を持続的に向上させていきましょう。
海外では、個人ではなくメディアをセグメントするターゲティングへシフトしつつあります。例えばその一つがコンテキスチュアルターゲティングと呼ばれるもので、メディア側のコンテンツ文脈をAIが解析・理解し、そのコンテンツ内容との親和性の高い広告クリエイティブを配信する、というAI学習ターゲティングの流れがあります。このように、cookieに依存しない形での新たなセグメンテーションが、ジオターゲティングを含むWeb広告全般に広がってきているといえます。
プライバシー保護の意識が高まる中で、ユーザーのプライバシーを尊重しつつ、効果的な広告ターゲティングを実現する技術や規制が今後もさらに求められていくといわれています。ユーザーが自らのデータの利活用についてコントロールしやすいシステムや、秘匿化されたデータを活用したターゲティング手法等が注目されます。
既に屋外広告等では3D化表現が進んでいますが、今後も拡張現実(AR)や仮想現実(VR)等の技術を活用したエリア起点の広告が増加していく可能性があります。ユーザーとのインタラクティブな体験を通じて広告の効果を向上させることができるかもしれません。
今まで、店舗の最寄り駅沿線の主要な駅を対象に一斉に折込チラシやポスティング等を行っていましたが、チラシとに合わせて自社施設や競合となる施設への来訪歴が月に1回以上ある人に絞ってジオターゲティング広告も配信。該当エリアで区切って配信するより、店舗来訪の可能性が高い層に絞って配信できたため、広告費の最適化が図れました。また、広告接触した人の数も数値化でき、オフライン広告に比べて効果測定も実現できました。
新規オープンの店舗の認知拡大を目的に、周辺エリアへの折込チラシを計画していましたが、折込だけでは新聞購読の少ない若年層へのアプローチが手薄になる懸念があったため、Web広告も検討。 店舗周辺のドッグラン施設や動物病院への来訪履歴がある人や、店舗周辺を通る人へジオターゲティング広告を配信。今までアプローチできていなかった層への認知が獲得できた例になります。
店舗周辺に住む人へ、限定セールやイベント等の告知を行ったり、競合店舗を来訪した人を対象に自社店舗の広告を表示させる等、エリアやタイミングを計算し効果的に来店誘導を測るプロモーションに活用しています。
どのような広告配信セグメントがあるかをチェックしましょう。 例えば、配信対象の指定(性年代、デバイス、対象メディアなど)、指定エリア形状の種類や粒度、配信時間帯の設定の細かさ、といったようにプラットフォームにより差異があるため、広告の目的や自社顧客の特性に合ったセグメントが可能なものを選ぶとよいでしょう。
また、それらのターゲティングがcookieレスの流れの”影響を受けるもの”か、1stパーティデータを活用した”影響を受けにくいもの”か等のチェックも必要に応じてご検討ください。
広告を配信する地域や自社の顧客の特性を分析できるデータを活用できると、地域や業界によって、特定のプラットフォームがより優れたターゲティングオプションや広告フォーマットを提供している場合があります。
データ解析や効果測定のツールやオプションサービスがあるかどうかも、選定の一つのポイントです。広告の効果を測定し、キャンペーンの最適化やPDCAに生きてきます。
自社の広告の目的によって、安易かつスピーディにミニマムな測定ができるものが良い場合もありますし、来店計測等も測りたい場合は店舗来訪者の分析も可能なツールとの連携ができるプラットフォームがよい場合もあります。1店舗だけでなく、多くの系列チェーン店舗の分析を俯瞰的に測定でできるようなレポーティングが可能なサービスもあるかと思います。
どのような効果測定が可能なのかも、導入前にしっかりと確認しましょう。
ユーザーがアプリ、Web問わずメディアの広告枠に接触した瞬間の位置情報を活用したDSP広告で、広告主が指定したエリア内以外では広告を配信しないという特殊な特徴を持つ「いま指定したエリアにいる人だけにリアルタイムに届く」広告配信プラットフォームです。
GISで分析した最適なエリア(町丁目リスト)を、広告配信に活用できる点もユニークな特徴です。
性別や年代、興味関心といったデータはもちろん、エリアの富裕度、購買傾向、世帯人口といった統計データや、生活意識等のアンケートデータも連携可能。精緻な分析で広告配信エリアを最適化し、具体的な顧客のペルソナから広告表現もブラッシュアップできます。
個人情報保護の観点から、行動ターゲティングデータ取得や、アプリの位置情報取得ハードルはますます厳しくなっています。ビッディングの位置情報を利用するMarketAnalyzer® Ads Digital は、これらの影響を受けにくいのも特徴です。
一般的な広告配信レポートは、リアルタイムで計測できます。それ以外にも、GISを活用し広告配信前後での店舗来訪者の増減や、店舗売上への寄与度等、精緻な効果測定レポ―トも作成可能です。 くわしくはお問い合わせください。 |
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監修者プロフィール市川 史祥技研商事インターナショナル株式会社 執行役員 マーケティング部 部長 シニアコンサルタント |
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医療経営士/介護福祉経営士 流通経済大学客員講師/共栄大学客員講師 一般社団法人LBMA Japan 理事 1972年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。不動産業、出版社を経て2002年より技研商事インターナショナルに所属。 小売・飲食・メーカー・サービス業などのクライアントへGIS(地図情報システム)の運用支援・エリアマーケティング支援を行っている。わかりやすいセミナーが定評。年間講演実績90回以上。 |