技研商事インターナショナル技研商事インターナショナル
エリアマーケティングラボ
2020年2月18日号(Vol.100)
ポータルサイトなどで地元のイベント情報などをよく目にすることがあると思います。イベントといってもスポーツやコンサートなどのビッグイベントだけではなく、地元の町内会のお神輿まつりなどのニッチなイベントもあるかと思います。イベントが開催されるとその期間、人の流れや滞留が変わります。その機会をチャンスととらえて、イベント会場近くの店舗が事前に対策できたら、売上増につながるのではないでしょうか?チェーン展開している企業であれば全ての店舗と近隣のイベントを紐付け、管理、対策をすることによって売上への大きなインパクトを期待できると思います。
今回の記事はイベント主催者と各種メディアを結ぶイベント情報の配信プラットフォームを運営する株式会社イベントバンク様にご協力いただき、イベントとその来訪者の分析、イベントと人の滞留について、GPSを搭載したGIS(地図情報システム)「KDDI Location Analyzer」を用いて分析した内容をご紹介します。
全国の自治体や観光協会をはじめ、様々なイベント主催団体およびPR団体から、インターネットを介してイベント情報を登録をしていただき、その情報をイベントバンクがデータベース化、提携メディアに配信します。地域発の数多くの新鮮なイベント情報を日々入手し、各種の情報サービスにご活用いただくことができます。
イベント主催者と各種メディアを結ぶイベント情報の配信プラットフォームです。
株式会社イベントバンク:www.eventbank.jp
まずは、大型ではないイベントをピックアップし、そのイベントの来訪者を分析してみます。2019年6月~7月にかけて、大宮盆栽美術館で企画展が開催されました。
大宮盆栽美術館での盆栽の展示
https://www.bonsai-art-museum.jp/ja/
大宮盆栽美術館はJR大宮駅の北側、JR土呂駅と東武野田線の大宮公園駅の間にあります。 今回はこの美術館のイベント期間中に来訪した人の属性(性・年代)と居住地(どこから来たか?)を分析していきます。
KDDI Location Analyzerでの分析(各種条件を設定)
まずは分析の準備として、大宮盆栽美術館の敷地を地図上でなぞり、登録します(地図内の赤い枠線)。これを「ジオフェンス(仮想境界線)」と呼びます。 さらに期間などの条件を設定します。イベントを開催していた7月12日~24日を期間とし、営業時間の9:00~16:30の間に1回以上来訪し、15分以上滞在した人という条件設定を行いました。
では結果を見てみましょう。 まずは性別です。男女別比率では男性53%、女性47%となりました。盆社好きは男性が若干多いということでしょうか。 年代で見てみると圧倒的に60代以上のシニア層が多い結果となりました。感覚的なイメージと合致しています。
来訪者の性・年代別傾向
次に先に設定した条件で来訪した人の居住地を見ていきます。つまり盆栽を見に来た人はどこから来たのかということです。
来訪者居住地分布
来訪者の居住地を市区町村別に地図上に表現しています。近隣の市区町村が多いのは当然かと思いますが、世田谷区からの来訪者が一番多かったのは新たな発見かも知れません。
※今回は来訪者の居住地を市区町村単位で表現していますが、町丁目単位でも分析・表現することができます。さらに、3地点を同時に分析することも可能です。
市区町村別来訪者数と大宮盆栽美術館との距離をグラフに表してみました。来訪者数と距離が比例関係にないのは、盆栽というものが非常に嗜好性が高いものであるからと推察します。
美術館からの距離と来訪者数の関係
自社店舗の近隣でイベントが開催されれば、ほとんどの場合自社店舗商圏内のターゲットボリュームが瞬間的に拡大し、結果として自社店舗への来訪者、売り上げが上昇するという仮説が立てられるかと思います。このパートでは、実際のイベントを例に、イベント会場の近隣の店舗への来訪者がイベント期間中と期間外を比較して増加したのかを検証してみます。
埼玉県の大宮駅の西口一帯で、毎年「大宮夏まつり」が開催されています。昨年は7月31日(水)にお神輿などが出る夏祭り、翌日の8月1日(木)にスパークカーニバルというイベントが開催されました。
大宮駅西口エリアのイベント
西口夏まつり(https://www.stib.jp/event/data/omiya-natsu-nishiguchi.html)
スパークカーニバル(https://www.stib.jp/event/data/omiya-natsu-spark.html)
会場は大宮駅の西口エリア一帯です。赤い線で囲っているエリアはイベント当日に交通規制の対象となったエリアです。そのエリア内にドラッグストアがあります(地図内の青い箇所)。このドラッグストアを分析対象とします。
来訪者が増加したかどうかを判断するために、イベント当日(赤い枠の7月31日と8月1日)とそれ以外の同じ曜日も分析対象とします(青い枠。イベントと同じ曜日でイベント前と後のデータも抽出)。
イベントが来店数に影響を与えるか?
結論として、イベント開催日ではない期間のドラッグストアの来訪者数が34.63とすると、イベント期間中の来訪者数は62.00という結果となりました。つまりイベント効果によって来訪者数が1.79倍になっていたと言えます。
イベント期間中は来訪者傾向が増加
このようにイベントは近隣店舗の来訪者を押し上げる効果があるということがイメージできました。どんなイベントが自社イベントにとって有効か、全国の店舗単位で全て把握して、対策を打つことができれば、先ほどの大宮の例をそのまま適用すれば、売り上げも1.79倍になる可能性もあります。 今回はイベントバンク様のイベントデータと、GPSを搭載し、店舗来訪者数の分析も可能な「KDDI Location Analyzer」を活用しました。 このような分析に興味があれば是非お問い合わせください。
KDDI Location Analyzerサービスサイト : https://www.giken.co.jp/service/kla/
※KDDI Location Analyzerをご自身でご体感いただけるよう、2週間の無償トライアルをご用意しております。
お申し込みは こちら から。
監修者プロフィール市川 史祥技研商事インターナショナル株式会社 執行役員 マーケティング部 部長 シニアコンサルタント |
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医療経営士/介護福祉経営士 流通経済大学客員講師/共栄大学客員講師 一般社団法人LBMA Japan 理事 1972年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。不動産業、出版社を経て2002年より技研商事インターナショナルに所属。 小売・飲食・メーカー・サービス業などのクライアントへGIS(地図情報システム)の運用支援・エリアマーケティング支援を行っている。わかりやすいセミナーが定評。年間講演実績90回以上。 |