導入事例レポート
パナソニック ハウジングソリューションズ株式会社様
- 本社所在地
- 大阪府門真市大字門真1048番地
- 事業概要
- くらしに関わる住宅設備・建材の製造・販売・エンジニアリング
- 公式サイト
- https://panasonic.co.jp/phs/
加盟店サポートの一翼を担う「店舗周辺の商圏レポート」。
精緻な分析により、ターゲットの分布やボリュームだけでなく、ペルソナまで具体化。
販促施策等に落とし込みやすいアウトプットは社内外で無くてはならないサポートに。
くらしに関わる住宅設備・建材の製造・販売をおこなうパナソニック ハウジングソリューションズ様。全国約260店舗に渡るPanasonic リフォームClub加盟店様へ向けて、加盟店舗のブランディングやスキルアップ研修、業務効率化支援、販促支援等を行っていらっしゃいます。今回、商圏分析をご担当の住宅・建築政策推進室 政策企画部 黒沼様にGIS(地図情報システム)やデータ活用についてお話を伺いました。
(導入前の課題)
・インストール型のGISで1台のPCでしか商圏分析ができず、役割分担や在宅勤務がしにくい分析環境だった。
・以前のGISではターゲット層の分布や量までは分かるが、そのペルソナまでは見えなかった。
(導入の成果)
・クラウドGISの導入で、自宅でも分析できワークスタイルの多様化にも対応できるようになった。
・加盟店舗のターゲット層を具体的に把握できるようになり、販促施策に活用しやすくなった。
黒沼様のお仕事内容について
私の所属している部署では、当社のボランタリーチェーンである「Panasonic リフォームClub」に加盟いただき、地域密着でリフォーム業をしていただいている工務店様やリフォーム会社様に対する営業支援や営業企画を行っています。
我々の持つリソースを通して加盟店の売上をあげること、また、そこで当社製品を使っていただくことが大きな命題となります。また、加盟店を増やしていくような新規開発の企画も立てています。
当社の各拠点に所属する加盟店担当の専任者(SV)は、日々加盟店と向き合い、どうやって売上を上げていこうかといった企画検討をするのですが、その時に販促活動やターゲット分析をする上で商圏分析が必要になってきます。私はその商圏分析を担当しており、それぞれの加盟店の分析データをつくって提供しています。
コロナ禍で在宅勤務の必要性が迫られる中
オフィスに縛られない分析環境を実現する“クラウドGIS”に着目。
様々な働き方にも対応できるメリットも。
システム導入の経緯について
もともと他社のオンプレミス型(1台のPCにインストールして使うタイプ)のGIS(地図情報システム)を使っていたのですが、コロナ禍に入り在宅勤務が通常になってきた時に、働く場所がPCのある会社に縛られてしまう点がネックになりました。
また、育児や介護との両立等、今後様々なワークスタイルへも適用できたほうが良いですし、在宅勤務だけでなく分担作業もしやすいクラウド環境(どのPCでもアクセスし稼働できるタイプのGIS)で商圏分析を行える環境への意向を検討するようになりました。
導入の決め手は?
クラウドGISについて情報収集していた時に、商圏分析をテーマにした技研商事インターナショナルのセミナーに参加をしました。そこで、具体的な活用イメージが沸いたことが最初のきっかけです。
営業の方にも話を聞いていく中で、サポート体制がしっかりしていそうだと感じ導入を決めました。
自分がシステムを理解することは前提としてあるものの、こちらがやりたいことに対して専門の方が上手く活用できる方法を指南してくれると安心します。そのような支援の環境が一番ありそうだなと感じたことが一番の決め手ですね。
実際に、「いいのかな?」と思うくらい多く要望を出しました(笑)
少し曖昧な要望や意見にも「じゃあ、検証してみましょう」といって一緒に精査してくれたり、「ここが違う気がする、でもどう変えていいのか分からない」というような場合にも「こんな方法はどうですか」と解決策を出してもらったり。キメ細かく対応していただいたので、一番メインで使っている分析機能に関しては納得のいくロジックが組めたと感じます。
相関分析で出した予測モデルをきちんと実装できているか。
分析結果は、どの単位で表現するのがベターか。
実務時の細かな不安も、こまめに取り除いてもらえるサポートがあった。
加盟店に対し、自店舗の周辺にリフォームの需要がどの辺にどれだけあるか、また、それはどんな人たちなのかというのをデータでお示しする、そのエビデンスとなる根拠をMarketAnalyzer🄬 5(MKA)で作ったのですが、リフォーム需要と一口にいっても、相関する統計データの項目も単位がまちまちですし、スコア化するには偏差値化をしなければなりません。
結構複雑な計算式を組んだのですが、システムにその式を実装するところまでフォローしてもらえたのはかなり助かりました。
(商圏マップのサンプル)
分析結果の見せ方についても、“平米”あたりなのか“キロ平米”あたりなのか、両方で出してみて、どちらがきれいに数値が出るかといったことも営業担当の方と並走しながら探っていきました。
こうした単位の違いは、地図上に色塗りしてみても大して変わらなくても、Excelに出したときに全然見え方が違ってくることがあります。予測モデルの策定だけでなく、モデル実装、アウトプットの表現の精査等、細かな部分までお手伝いいただけたのはありがたかったですね。
ご活用について
MKAでは「加盟店の店舗を中心に商圏を設定し、リフォームのターゲットとなる層がどこに分布しているのか」というのを出す分析メニューが基本となり、活用の頻度は一番高いです。
このレポートは、加盟店の販促施策のコンセプトやターゲットエリアを決める際に基となるデータです。
現地にいる加盟店担当のSVは、加盟店と一緒にそのレポートを活用して販促企画を検討するところまで細かくフォローします。そのため、SVも加盟店の皆様も活用しやすくわかりやすいレポートを作る必要がありますし、レポートの見方や販促施策への活かし方のノウハウをパッケージ化した研修等も企画しています。
MKAの商圏レポートで、ターゲット層の具体像が鮮明に。
リフォーム販促のコンセプトやテーマを決める際に役立つと、社内外の評判も上々。
施策に活かしやすいレポート作りで工夫していることは?
まず、以前使っていたGISと比べてレポートのクオリティはグンと上がりました。
それまでは「どこに、どれくらいのターゲット層がいるか」はレポートで出せたのですが、その層がどんな人達かまでは見えませんでした。
今は、統計データのほかにc-japan🄬という居住者の特性やライフスタイルを具体化できるデータも活用していますが、c-japan🄬で大まかな顧客像を掴んだ後に細かな統計の数字を見ていくと、そこに住んでいるのがどんな人か、どんなリフォームが響くかがイメージしやすくなります。
今日、リフォームは多様化をしておりターゲットを定めることは難しくなってきているので、顧客像を具体的に可視化できる点はとても役立っています。
加盟店様の反応は?
まず、「商圏分析なんていらない、必要ない」というような経営者は一人もいません。
加盟店の商圏レポートはメニュー化してオープンにしていますが、全国の主要な加盟店の経営層を招くオーナー会等でも評判が良いです。
経営層の方々は、特にデータに基づく効率的な経営を求めていらっしゃいますし、MKAやc-japan🄬を活用した商圏レポートは、1社で作るにはそれなりにリソースがかかる内容ですので、当社のボランタリーチェーンの加盟メリットとしても感じてもらえていると感じます。
また、当社のSVからの評判も上々です。
実際にレポートを加盟店に展開するのはSVですが、こうしたレポートがあることで主観ではなくデータによる客観的な提案ができています。明確なエビデンスという武器により説得力のある提案につなげられるという点でも支持されています。
市場をロジカルに見極める手段として
MKAのレポートの認知が広がり、他部門での活用も。
加盟店サポートとは別に、新規開発の業務にもMKAを使っています。 MKAでは、自社データや様々な統計データを元に、ポテンシャルの高いエリアを割り出すことができるので、加盟店を増やしていける可能性の高いエリアの選定にも活用しています。 現状の店舗数とリフォーム需要のポテンシャルを比較し、ポテンシャルのほうが高ければ新規で加盟店の開発が可能なことが分かります。 新規開発は、どこから攻めるといった“一歩目の踏み出し”が難しいのですが、MKAのレポートがあることで「ここで加盟店の説明会をやるべき」といったエビデンスが持てるので、こちらのレポートも社内での評判が良いですね。
さらなる加盟店サポートのクオリティアップを目指し、新たな使い方を検討。
データの戦略的な活用を模索していく。
今後の展望について
これまではリフォーム需要の分析をメインでやってきたのですが、今度は新築部門にも活用を広げていくことになっています。まさに今、新たに新築部門向けのロジックを組むところですので、また営業担当の方やサポートのフォローに期待したいところです。
また、別の分析機能を活用した新たな使い方も検討しています。
例えば、商圏が似ている加盟店をグルーピングする“店舗クラスター分析”をしていきたいですね。
現在、当社には全国で約260店舗の加盟店があり、その中で様々な店舗の成功/失敗事例を共有して、自社の活動に生かしていくことも加盟メリットとしてあります。
一方で、そのまま事例を紹介しても、例えば東京の事例が全く環境の違う地方では参考にしにくいということもあります。
そこで、MKAのクラスター分析機能で市場(商圏)が似ているエリアをグルーピングし、その同じグループ内で事例を展開できるようにすると、今よりもっと参考にしていただきやすくなると思います。
類似商圏毎に情報を共有していくことで、商圏によって販促の量、質、内容を最適化していけますし、店舗の体制等も「このくらいの商圏だと、このくらいの売上を狙えるので、そのためにはこのくらいの人員が必要」といった経営視点で役に立つ情報になります。
加盟メリットをさらに高めていけるよう、今後も、情報をより有益な形で提供できるようなデータ活用を模索していきたいと思います。
(取材月:2024年11月)
導入頂いたシステム
■ GIS(地図情報システム)「MarketAnalyzer🄬 5」
【探索的かつ高度な分析に対応】ビッグデータ時代の商圏分析・エリアマーケティングシステム(詳細はこちら)
■ エリアセグメンテーションデータ「c-japan🄬」
エリア特性を把握するジオデータ(詳細はこちら)