導入事例レポート

小田急電鉄株式会社

小田急電鉄株式会社

本社所在地
(新宿本社)東京都新宿区西新宿2丁目7番1号
(海老名本社)神奈川県海老名市めぐみ町2番2号
事業概要
鉄道事業、不動産業、その他事業
公式サイト
https://www.odakyu.jp/

グループ会社全体の幅広い調査依頼における
人流系の分析をKDDI Location Analyzerでカバーし
レスポンスの速さとデータの信頼を、共にアップ。


約70にのぼるグループ会社からなる小田急電鉄株式会社様は、東京、神奈川エリアを中心に、運輸、不動産、流通、ホテル、外食など様々な事業を展開されています。グループ全体の多岐に渡る調査研究業務を担う小田急総合研究所の研究員である山内 孝哲様に、KDDI Location Analyzer(KLA)の人流データ活用についてお話を伺いました。

【課題】
・人流系の調査は、データ購入コストが高く限定的な対応になっていた。
・数年に1度更新の公的統計は、信頼性はあるがタイムリー性に欠けていた。

【効果】
・定額で人流データをいつでも何度でも取得でき、幅広い調査に対応できるようになった。
・最短3日前という鮮度で、人の流れを調査できるようになった。


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【目次】

  1. (1)導入前の課題と採用の決め手
  1. (2)具体的な活用について
  1. (3)導入のメリット、成果
  1. (4)今後の活用について
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はじめに


小田急総合研究所は2010年に設立された企業内の研究所です。主に、グループ会社含め当社の調査研究業務を担っています。主には、改札の流動調査や、事業部やグループ会社から依頼に対して必要なデータ(公的統計のデータやその他の一般的なデータ等)を取得してフィードバックするといった調査を行っています。また、個別に研究テーマを決めた研究も進めており、研究結果を会社内やグループ会社へ向けて、今後の業務方針や取組みの指針・方向性につながるような情報を提供しています。


小田急総合研究所 研究員 山内 孝哲様




「このエリアで、この期間で、もっと調べてほしい」
一度KLAの調査データを見たら、どんどん追加依頼が増えていく。
多くの量をこなせるのは、定額制ならではのメリット。


導入前の課題について


KDDI Location Analyzer(KLA)導入前は、人流系の調査が必要な場合に都度データを購入していましたが、当時は調査依頼に対してすぐ対応できる状況ではありませんでした。1回のデータ購入で数百万円単位というコストがかかるため、限定的な利用しかできない点が課題でした。もう少しフレキシブルに活用できる人流データを探していたところ、グループ会社の紹介でKLAの存在を知りました。

採用の決め手は?


調査の数が多いため、何度でも好きな時に人流データが取れる柔軟性が一番の決め手になりました。 昨年は年間70件程度の調査依頼が入りましたが、1度調査データを提供した所からは「こんなことが分かるのか、では次はこういったデータが見たい」という反応をいただくことが多く、リピートで次々と依頼が入ってきており、今年は依頼が加速度的に増えています。 調査担当は3人いますが、人流データの抽出依頼は1社から1案件ではなく同時に3~4案件くらい入ってきますし、直近で言うと1人当たり大体10案件ぐらいは抱えているような状況です。
国内居住者版」に加えて、最近インバウンド人流が分かる「訪日外国人版」も導入しました。 当社の事業エリアには箱根・江の島という観光地の二大拠点がありますので、インバウンド関連の調査依頼も少なくありません。どう使っていくかはまだ検討中ですが、画期的なシステムなのでうまく利用していければと思っています。

「KDDI Location Analyzer 訪日外国人版」分析画面イメージ
※小田急電鉄様の実際の分析画面ではありません。


以前訪日客に、現地調査でアンケートをとったことがありますが、警戒されたのか回答率が高くなかったことがあります。KLAのようなツールで簡単に国籍やボリュームが把握できるので、インバウンド人流の調査がスムーズにいくのではと期待しています。

具体的な活用について


様々な事業を展開しているグループ会社から調査依頼が入るため、KLAの用途は多岐にわたりますが、一つあげると「イベントの効果測定」があります。

当社は街の活性化のために様々なイベントを実施しており、大きなイベントがあった際には最寄り駅の混雑具合を分析したり、イベント来訪者の属性やボリュームを調べたり、どのあたりから来ているか居住地分析をしたりします。

導入当初は、「自分たちの商業施設に、どこから、どんな人が来ているのか」というベーシックな調査が多かったのですが、今では、複数のデータを組み合わせてより深い洞察を得るといった高度な分析の依頼が増えてきました。


来訪者居住地分析イメージ
※小田急電鉄様の実際の分析画面ではありません。


出店候補地や出店しているエリアの分析」にも活用しています。
グループ会社の出店の際に、候補地の店前通行量を調べたり、周辺エリアの滞在人口の属性や傾向を見たりします。

また、「観光地のエリア分析」や「競合分析」にもよく使います。
自分たちのエリアと、その他の観光スポットとの来訪傾向の差を見たり、回遊や併用の状況を分析したり。このようなギャップや傾向を把握することで、例えば新たな競合施設ができた場合でも、競合が自分たちの施設に及ぼす影響を把握することができます。

併用分析イメージ
※小田急電鉄様の実際の分析画面ではありません。


新しいものは施設だけでなく道路等も沢山ありますが、「新設した駅までの道が、きちんと駅に向かう際に使われているか。計画通りに使われているか。」といったような検証の依頼も最近増えています。作る前に立てた仮説を、データを用いてきちんと検証していくことは難しいのですが、とても重要なことだと思います。

KLAのデータは、改札データ(改札の入出場を計るデータ)等の社内データや公的統計データと組み合わせて分析しています。また、グループ会社の事業の会員情報(ポイントカードデータやスポーツクラブの会員データ等)も保有しているので、それらと滞在人口等のデータを掛け合わせて、顧客像を明確化するといった活用もあります。

「イベントの人流をいち早く把握し、次の施策に活かす」
このPDCAを高速に回していくために
3日前の人流が取れるKLAのタイムリー性は不可欠。


導入前後で大きく変わったことは?


調査依頼に対するレスポンスの速さは、大きく変わったと思います。
また、客観的かつタイムリーなデータを提示できるため納得感が増し、調査結果に対する信頼性も高められていると感じます。

導入前の課題のひとつに、研究や調査で扱うデータの鮮度が高くない点がありました。
研究や調査で主に使っている公的統計(国勢調査等の各種統計データ)は1年や数年に1度の更新頻度となります、数年前のデータから現状を推測するのですが、やはり時間や手間がかかります。
KLAでは3日前の人流データが取れるため、推測せずとも現況をタイムリーに把握することができるので便利ですね。
直近の人流把握は需要が結構高くて、「次の施策に生かすために、先週やったイベントの人流データを見て、各事業部で共有しPDCAを高速で回していきたい」といった声は多くあります。
こうしたニーズにスピーディに応えられる点は大きな成果だと感じます。

町丁目単位で可視化できる「来訪者居住地分析」で
販促重点エリア抽出の精度と効率をアップ。


「どこから、どんな人が、どのくらい来ているか」というのが一番知りたい所なので、施設分析の来訪者居住地分析は一番活用が多いです。こうしたデータは、来場者にアンケートでも取らない限りはなかなか見えてこないデータですが、KLAでは瞬時に出すことができます。

イベント等でターゲット設定した層の方々が本当に来たのか、という答え合わせをする意味でも来訪者を細かく分析できるのはありがたいです。
特に小田急電鉄は地域密着型で、東京と神奈川の沿線で事業を展開していますので、より多くの足元の方に来ていただきたい思いがあります。町丁目単位で来訪者居住地を把握できるKLAを活用し、集客が薄い販促重点エリアを抽出することで、より効果的な集客や告知につなげています。


データに頻繁に触れる機会が増えていくことで
全社的にデータ活用の機運が高まっていく。


我々にて人流データを踏まえた考察を入れたレポートを出すのが一般的でしたが、最近ではKLAで抽出した人流のローデータをそのまま分析依頼元の事業部へ渡して、そちらで加工編集したりするケースも増えています。
分析結果として同じ数字を見ても、実務担当者と我々分析担当者が見るのでは、解釈が異なることもあるので、事業部が自分で分析していくことも意義のあることです。
様々な部署で、感覚だけでなくデータやエビデンスに基づいた意思決定をしていく上で役立っていると思います。

また、調査のスタイルもKLAの導入で少し変わったと思います。
導入当初は、コロナ禍でしたので現地での人流確認が難しくKLAを使った机上での調査を進めていました。今はコロナ禍も明けたので現地に自由に赴けるのですが、むやみに調査をするのではなく、まずKLAで下調べをして“あたり”をつけてから効率よく現地調査をするというようなスタイルになっています。

効果測定といった“事後”だけでなく、
“事前”の企画段階でもKLA活用の幅を広げて、
施策全体のクオリティを高めていきたい。


今後の活用について


まだこのツールや人流データの活用自体を完全に把握してない部分があると思っています。
例えば、データの掛け合わせにおいても「何と何を合わせれば、こういうことがわかる」といった知識の引き出しがまだ余白としてあります。KLAの活用セミナー等も活用しつつ知識やスキルを広げていけば、社内の分析ニーズ自体も広げていけると思います。

主要動線分析機能も、今は新規出店時ぐらいしか使っていませんが、例えば、駅までの人の流れ(どこから、どんな人が、どのぐらい駅に集まっているのか)のデータは、もっと鉄道会社ならではの活用法があるかもしれません。

あとは、施策全体を通じた効率化への活用です。
皆決められた予算の中でプロジェクトやイベントを動かしているので、より効率を重視する流れがあります。今は施策実施後の効果測定での活用がメインですが、企画段階でも「集客しやすいエリア」や、「ターゲットとなる属性の人が多く通る媒体」の最適な選定等に人流データを活用していければと思います。

せっかく定額制で調べ放題なので、様々な施策の前後でしっかりとKLAの人流データを活用し、施策の効率やクオリティの向上を目指していく。そんな使い方も模索していきたいと思います。
(取材月:2024年7月)

導入頂いたシステム

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