導入事例レポート
GYRO HOLDINGS株式会社様
- 本社所在地
- 東京都新宿区西新宿7-22-43 新宿JECビル4F
- 事業概要
- ・居酒屋、焼肉、寿司、ラーメン、パン、デリバリー等、90を超える飲食ブランドを提供。
・飲食ブランドのM&A及びフランチャイズ事業の展開。 - 公式サイト
- https://gyro.holdings/
出店エリアのポテンシャル分析に必要なデータを
すばやくチェックしレポーティング。
導入前と比べ、物件調査のスピードが加速。
飲食店経営や独立支援、FC店舗支援等、食に関わるサービスを提供されているGYRO HOLDINGS様は、90を超える幅広い飲食業態を展開されています。この度は、マーケティング部 部長の立壁様に、出店エリアのポテンシャル分析や新規出店時の売上予測時のデータ活用についてお話を伺いました。
立壁様のお仕事内容について
現在、当社は飲食店を中心とした7つの事業会社がありますが、それぞれの事業会社のマーケティングを一気通貫で効率よく行っていくために数年前にマーケティング部を立ち上げました。
部のミッションは“プロモーション投資効果をいかに最大化するか”です。グルメ媒体での広告運用やSNSを活用した認知拡大策等、販促・集客軸でのマーケティングを行う中で、売上の見込めるエリアの分析も行っています。
出店から販促まで一気通貫で行うことで、出店エリアのポテンシャルを見ながら、マーケティング活用を合わせたときにどのくらいの売上が見込めるのかをトータル的に予測し、店舗開発チームと共に戦略を立てています。
見たいデータを、一番分かりやすく可視化でき
容易に分析できたのがMarketAnalyzer® 5だった。
MarketAnalyzer® 5を知ったきっかけは?
どうしたら売上予測やエリアのポテンシャルを正しく客観的に図れるかを色々と調べていく中で、当社にとって必要なデータは、「人口」や「人流」等ある程度限られてくると感じました。それらの必要なデータがしっかりと搭載されている分析ツールを探していき、いくつかのシステムが候補に挙がりました。無料でトライアルできるものを試していき、その中でも一番合いそうだなと思ったのがMarketAnalyzer® 5(以下、MKA)でした。
導入の決め手は?
一番の決め手は、自分たちが見たいデータが分かりやすく可視化されていた点です。
トライアル時に、まずは商圏分析の基本となる「3つの人口(夜間人口、昼間人口、商業人口)」を一つの目安として、既存店舗と新規出店エリアを比較し、その差異を見ていったのですが、店舗周辺の人口データが一番分かりやすく分析できたのがMKAでした。
MKA導入前は、エリア分析はjSTAT(政府が提供する無料GIS)で行っており、人口の多い少ないといったデータは出せるものの非常に時間がかかっていました。データを出した後も、社内展開に必要な分だけを切り取り、他店舗との比較も追加して見やすく加工・編集する必要があり、工数がかかりすぎるという課題がありました。
MKAはスムーズに詳しいデータが出せますし、見やすいグラフや表でレポート出力できるので、データ作成の時間は大いに圧縮できました。また、長期間無料で試せたので安心して導入できた点もメリットです。
出店エリアのレポート資料作成にかかる手間は
大幅にカットできるも、売上予測への活用はこれから。
住宅街への出店分析等、できるところから検討していく。
どのような業務にご活用ですか?
新規出店時の売上予測での活用がメインです。
MKAは、分析したい住所や商圏のサイズを指定し統計データを選択すれば、パッとすぐにレポートが出てきます。その結果を切り貼りする程度で社内用のプレゼン資料ができるので、以前と比べるとだいぶ楽になっています。
人口を中心に商圏データを調査していますが、まだ売上予測ができるまでには至っていません。特に繁華街は、人口条件だけでは売上を予測しきれませんね。
住宅立地であれば、既存店と立地や人口分布が類似しているエリアをMKAで探しポテンシャルを分析できますが、繁華街は統計データだけでは読みにくいため、人流データやグルメ媒体のエリアデータ(有料掲載店舗数、平均Web予約数等)といった統計データ以外の情報も参考にしています。
今後もっと売上予測の精度を高めていくために、MKAに重回帰分析機能を追加しました。我々はマルチブランド展開をしており、運営する店舗数は100を超えるのですが、1業態の店舗数が十数店舗となるため、容易には重回帰分析を適用できません。
しかし、住宅街を中心にFC展開をしていく際の出店立地判断には使えるかな、と画策しています。
調べたいエリアの分析だけでなく、
求める立地の逆引きができる点は、出店余地検索に役立つ。
数多く上がってくる物件情報の一次精査も
商圏データの活用で、よりロジカルに進められれば。
どのようなデータや機能をご活用ですか?
主には人口データですが、主要チェーンの店舗数も表示されるので飲食店の需給バランスもチェックしています。
“3つの人口”は、1店舗数あたりの数や飲食全体での数、さらに居酒屋での数というように、細かく見ています。また年収データや事業所数等のデータ等も出しています。
さまざまなデータを参照するものの、結論(売上の予測額)を出すのは難しいですね。『こういう立地なので売上はどのくらい立つ』という結論に至るまで、かなり頭を悩ませます。
MKAは、調べたいエリアのポテンシャルを見るだけでなく、求めている条件を満たすエリアを逆引きもできるため、出店余地の検索にも使えます。 例えば、『東京都内で、出店判断軸の一つとなる「人口データ」の基準をクリアしている上位30エリア』といったランキングも出せるのはありがたいですね。
どうしても、どこの立地が良いかという判断は“肌感”に依る所が大きくなりがちなため、データで客観的に判断できるようにしていきたいと思います。
出店候補の物件情報は、毎日のようにメールで複数の不動産仲介会社等から(重複も含め)百数十件も上がってきます。一次スクリーニングでは、それらの物件を数名の担当者が目視でチェックし、担当者個人の判断で「有り無し」を決めます。それを通り抜けた物件が複数の部署で検討にあがるという流れです。
この一次スクリーニングの段階で、個人判断ではなく「まずは人口条件だけで絞る」というように商圏データを用いたロジカルな判断軸を作るというのは、属人性もなくせて有効だと思っています。
出店分析におけるデータ活用を進めることで
属人的な判断を少しでも減らしつつ
売上予測精度を高める効果的な活用法を探っていきたい。
導入後の成果は?
既存店の売上や商圏データ(人口等)を出したうえで、何の要素が一番売上に関わってくるのかを探る相関分析や、各店舗のデータを偏差値化したスコアリング等を技研商事インターナショナルの営業担当者と試行錯誤をしながら出しました。
売上予測の精度向上にはまだ活用できていませんが、売上と相関するのはこの要素が強いといった傾向を何となく把握することはできました。
もともと、属人的に判断していた出店分析に対して、客観的なデータを使うというだけでも大きな進歩だというのはありますが、まだそれでも属人性が伴う部分は残っています。
また、最終意思決定者にとってはプロセスよりも最終的な売上予測の数字が判断軸となるため、データから売上を読み解く精度が低いとアウトです。 データやツールの効果的な活用方法を探り、売上予測精度をさらに上げていくことで、導入前の課題をさらにクリアにしていければと感じています。
出店のみならず、販促や顧客分析への活用も。
MKAはできることが幅広いため
自社に有用な機能やデータがないか、今後も模索していきたい。
今後の展望について
MKAはできることが幅広く、使っている機能はほんの一部だと思います。
広告のリアルタイム配信ができるMarketAnalyzer® Adsは、今後販促軸で活用してみたいですね。
店舗周辺エリアのデータを元に“リアルタイム”な広告配信ができれば、集客が弱くなるタイミングで店舗周辺にいるターゲットに向けて集客メッセージを訴求できるので魅力的です。『金土曜の繁忙期に集客はできているものの、月木の平日は弱い店舗』の“平日の強化”みたいなことに使えるのかな、と思っています。
例えば、雨天の月曜夜で予約が少ないようなとき、リアルタイムで広告が打てるならば、外食ニーズが顕在化していなくても広告を見てもらうことで来店を促すことができるかもしれません。
平日であれ、飲食店自体はある程度スタッフの人数を揃えていますし、たとえ単価が高くなかったとしても席が空くよりは来客があったほうが良いため、状況に応じて柔軟に集客できるならば活用検討の余地はあると思います。
また顧客分析の軸でも活用の余地があると感じます。
不振店の業態変更の場合でも、良い物件がある際に業態開発をする場合でも、改めてマーケットを見ながら、どういう業態なら当たるかというのを検討しなければなりませんが、その際は、プロダクトアウトではなく、より「マーケットイン」の視点で企画していくべきと考えています。
『なぜここで、この業態をやる必要があるのか』、『このエリアにはどういうペルソナの人が多いのか』等のマーケティングデータを集約して、結果どのようなメニューや空間を用意するべきだというような一連のプロセスを、ロジカルな面でも強化していきたいという思いがあります。MKAには、居住者や来訪者のペルソナ分析機能や、エリア別に細かく細分化されたターゲットのデータを把握できる機能があるので、活用できるかもしれません。
ただ、調べられるデータが多岐に渡るので、あれもこれもと見ていくと物事が複雑になっていく懸念もあります。あくまで、当社にとって必要なデータを十分に吟味し、それをいかに客観的に分析できるかが重要です。私たちのビジネスにマッチした使い方を模索していければと思っています。
(取材月:2024年10月)